複数AIで壁打ち、NotebookLMで形にする。3時間の「研修資料」を連鎖プロンプトで完遂したハック

相原知栄子

こんにちは。KUSANAGI 開発チーム、プロダクトマネジャーの相原です。 

先日、KUSANAGIパートナーのエンジニア向けに、KUSANAGIの研修を担当することになりました。

内容は「自力で構築・運用・トラブル対応ができるようになる」ことをゴールとした、たっぷり3時間のプログラム。対象はベテランからサーバ運用初心者までと幅広く、準備すべき資料の分量もかなりのものです。

「さて、どうやってこの膨大なストーリーを構築しようか……」

真っ先に頭に浮かぶのはAIの活用ですよね。今回は単に一つのツールに頼るのではなく、NotebookLMと汎用AIを「情報の整理」と「思考の研磨」で使い分ける、四段構えのワークフローで挑みました。その試行錯誤の記録を共有します。

NotebookLMで「情報の原石」を整理する

資料作成の第一歩は、情報の集約です。KUSANAGIの公式ドキュメントや、過去の膨大な技術コラム……これらを一つずつ読み解いて構成を考えるのは至難の業です。

そこでまず、NotebookLMにすべてのソースを読み込ませました。ソースはKUSANAGIの公式サイトのドキュメントと開発チームが執筆しているこの技術コラムから選びました。NotebookLMは複数のソースを横断的に理解し、まずは「テキスト版の研修資料」としてまとめ上げてくれます。これが、今回の資料作成における「情報の原石」となりました。

GeminiやChatGPTとの「壁打ち」:ストーリーはAIに、芯は人間に

次に、その「原石」を携えて、GeminiやChatGPTを相手に徹底的な壁打ちを行いました。ここで大切にしたのが、「人間が芯を握り、AIにストーリーを任せる」という役割分担です。

  • 構成(人間の芯): 必須項目(プロファイルの概念、Webサーバの3モード、エディション差分など)を網羅的に指定。ここがブレると研修の質に関わります。
  • ストーリー(AIの力): 各ページの内容やストーリー、ページ間の繋がりは、NotobookLMの優れた構成力に任せる。

AIと対話を重ね、返ってきた案にさらに自分の意図をぶつける。この往復を繰り返すことで、自分の中の曖昧な思考が削ぎ落とされ、洗練された「スライド用のプロンプト(指示書)」へと形を変えていきました。

NotebookLMで「形」にする:エンジニア資料に「嘘」はいらない

構成が固まったら、いよいよ再びNotebookLMの出番です。スライド形式で出力させますが、ここで私がNotebookLMにこだわったのには理由があります。それは、「読み込んだソース以外は参照しない」という誠実さです。

エンジニア向けの技術資料において、ハルシネーション(もっともらしい嘘)は致命的です。「それっぽいけど存在しないコマンド」や「古いバージョンの仕様」が混ざってしまうと、受講者を混乱させるだけでなく、資料全体の信頼性を損なってしまいます。

他のAIツールも試しましたが、どうしても一般的な学習モデルから「気を利かせた(余計な)情報」を引っ張ってきてしまう傾向がありました。(存在しないコマンドも!)その点、NotebookLMは指定したドキュメントという「正解」の中に踏みとどまってくれます。

「テキストを直接編集できない」という弱点すら、情報の正確さに対する信頼を前にすれば、十分に補って余りあるメリットだと感じました

テクニカル・ハック:20枚の壁を越える「連鎖プロンプト」

ここで一つ、NotebookLMの「一度に20枚程度しか作成できない」という制限をどう突破するかが鍵となります。私は以下の手順で、3時間分(約60ページ)の資料を構築しました。

  1. 3部構成への分割: 全体を3つのセクションに分け、それぞれ20枚ずつ出力。プロンプトには3回とも全体の構成を含め、どの部分を作成するのかを指示する。
  2. 文脈の継承: 2つ目以降のセクションを作る際、「前の部で作成したスライド」をデザイン参照用のソースとして追加読み込みする。
  3. デザイン指示の固定: 「濃紺・グレーのモノトーン」「図解中心」などのデザイン指示を全プロンプトで共通化し、統一感を維持。

この「前の部をソースにする」工夫により、分割して作ったとは思えない一貫性のあるストーリーに仕上げることができました。

仕上げ:Nanobananaで「血」を通わせる

最後に、NotebookLMが書き出したPDFを画像として書き出し、パワーポイントに配置しました。

ここからの細かな文字修正やデザイン調整にはNanobananaを活用。また、NotobookLMで出力した複数のパターンのスライドから最適なページを選んで差し替えていきます。これが資料に血を通わせる最後の仕上げになリました。

NotebookLM × Nanobanana の連携ワークフロー

プロセス役割分担使用ツール
ストーリー構築必須項目を指定し、構成をAIに任せるNotebookLM
鮮度の担保速度データなどは最新URLを参照するよう指示人間の判断
ビジュアル調整PDFから書き出し、パワポ化して微調整Nanobanana

最後に

AIは「自動で何かを作ってくれる魔法の杖」ではありません。

自分の思考をぶつけ、返ってきた反応を見てまた考える。この「壁打ち」の往復回数こそが、資料の、ひいては研修そのものの質に直結するのだと痛感しました。

「AIが作った資料」ではなく、「AIを使い倒して、自分が納得いくまで練り上げた資料」

もし皆さんが膨大な資料作成を前に立ち止まったら、ツールごとの特性を理解し、彼らを「副操縦士」として迎えてみてください。きっと、一人では到達できなかった精度の高いアウトプットに出会えるはずです。


このコラムもGeminiと壁打ちしながら執筆しました。98%くらいは一緒に作ったもの。残りは入稿してからのちょっとした調整で。ChatGPT にも手伝ってもらいました。
私の過去のコラムを教えて、雰囲気合わせてとお願いしていますが、どうでしょう?感想いただけたら嬉しいです。

KUSANAGIパートナーの皆様にはKUSANAGIを活用していただけるよう、このようなパートナー向けの特別研修なども実施しています。ご興味ある方はぜひお問い合わせを

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