電力のエキスパート集団、ENECHANGEが運営する「SIMCHANGE」
ENECHANGE株式会社は、代表である城口氏がイギリスのケンブリッジ大学での博士課程中に行っていた電力データの研究を生かし、在学中に産学連携ベンチャーとしてケンブリッジエナジーラボをイギリスで設立したのが始まり。その後、2015年4月に日本で会社化したのが現在のエネルギーテック企業であるENECHANGEで、電力に関する知識や技術におけるエキスパート集団だ。
同社はエネルギーデータを活用したエネチェンジクラウドサービスを電力小売事業者向けに提供するなど電力を提供する側のサポートをメイン事業としているが、消費者にとってわかりにくい電気・ガスの料金プランを見直す比較サイトも運営している。
さらにユーザーにとって“通信のより良い未来をつくる”をビジョンとして立ち上げた格安SIM・スマホの総合情報サイト「SIMCHANGE」を運営しているのも同社だ。
同サイトは、市場に溢れている様々な情報の中から、中立的な立場と独自の視点で編集した情報を掲載している。その情報は時代のニーズに即した内容な上に、質が高いものであるため、その情報をもとに格安SIMをどうするかを考えているユーザーは多く、それは月間アクセス数が170万UU超という数字にも表れている。
エネルギーマネジメント事業本部 メディア事業部 事業部長 曽我野 達也氏は同サイトについて次のようにコメントしている。
“電力と通信業界は、解放という意味でマーケットが似ていて、会社設立時にすでに規制が緩和されていた格安SIMの比較サイトを、エネチェンジの電力比較サイトの構築で培ったノウハウを活用し、トライアル的に始めました。光熱費とあわせてユーザーの固定費を下げることが目的です。”
速いWebサイトは当たり前、WordPressには「KUSANAGI」を
そんな「SIMCHANGE」だが、表示速度の課題もあり、Webサーバのリプレイスの計画があがった。
その移設計画の中心メンバーの一人であるCTO室 インフラエンジニア 伊賀原 一峰氏は、2015年にプライム・ストラテジーがオライリー社より発刊した「詳解WordPress」を当時読んだことから「KUSANAGI」を知り、個人で技術検証をしたことがあったという。
その後、同社が運営しているサイトに導入し、Webサイトの速度が大幅に改善したことを目の当たりにした。
実際、複数サイトの運営に携わる編集者から見ても管理画面の速度は段違いだったようで、編集者からは喜びの声が上がった。そのためその効果の高さは社内でも評判で、同サイトへの導入にも反対の声は上がらず、導入後もその期待を裏切ることなくそれまでのサイトと同様に、同サイトでもその効果は高いものだった。
同時に使用を開始したWordPressのプラグインMroogaの表示速度も速く、問題は見受けられない。
伊賀原氏は次のようにコメントしている。
“世の中、スピードスピードスピードで高速化はマストだと思っていた。AWSやAzureなどのプロバイダで「KUSANAGI」が使用できる環境が整うなど、世の中に浸透してきていた。また、プライム・ストラテジーのエンジニアとの交流での情報収集や、セミナーへ参加をするなど市場での反応は常に把握していた。今ではWordPressには「KUSANAGI」というような「KUSANAGIファースト」な認識になっています。”
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KUSANAGI for Ruby on Railsで、余計なコストをかけずに済んだ
順調に進んでいるリプレイス計画だが、プロジェクト進行前には頭を悩ませる出来事があったようだ。それは、同サイトが稼働しているサーバで、WordPressのほかにRuby on Railsが使用されていた点だ。この部分を別の環境にすれば2台分のサーバコストがかかってしまうため、その扱いに頭を悩ませていたのだ。
どうするかを社内で検討していたちょうどその頃、プライム・ストラテジーが新たに提供を開始すると発表したのが「KUSANAGI for Ruby on Rails」だった。
この時のことをエネルギーマネジメント事業本部 メディア事業部 エンジニア 柏木 隆宏氏は次のようにコメントしている。
“正直それまでは、WordPressだけを移行するという選択肢は無く、「KUSANAGI」へ移行する優先度はかなり低かったです。それが「KUSANAGI for Ruby on Rails」の発表後、社内のエンジニア間で『KUSANAGIがRuby on Railsにも対応したらしいぞ、これはどうなんだ?』と話題になり、急に温度感が高まりました。「KUSANAGI for Ruby on Rails」の構築事例などはあまりなく、苦労することが目に見えていましたが、WordPressを移行するメリットを鑑みて、Railsの移行にも踏み切りました。やってよかったと思っています。”
導入のハードルの低さと、日本製であることを評価
アプリケーション側での検証には時間がかかったというが、インフラ側ではプロビジョニングの容易さやコマンドが用意されていることで、さほどハードルの高さを感じずに無事移設が完了したという。
この一連の移設について伊賀原氏は次のようにコメントしてくれた。
“企業規模によって導入の障壁は高かったり低かったり、要件は多種多様だとは思うのですが、初期の構築であればそんなにハードルは高くない。簡単にプロビジョニングしてくれて、コマンドも用意されているので、難なくクリアできると思うが、柏木が対応したような、移設のアプリケーションの動作を担保しながら構築していくという、「KUSANAGI」ではないところではエンジニア力がいるんではないかなと。また、負荷テストにおいても期待していた以上の数値が出ているので満足している。”
柏木氏は作業の中で気づいたことを次のようにコメントしている。
“私自身これを移設するまで、「KUSANAGI」についてそんなに詳しくなかったが、実際やってみてプロビジョニングのコマンドとかドキュメント、プラグインの使い方など、しっかりドキュメントが用意されていて使いやすいなと感じました。日本製でドキュメントがほとんど日本語なのもやりやすかったポイントの一つかもしれません。一方で、Ruby on RailsとWordPressが同居するにはどうしたら良いかとか、その辺の事例があればもっと移行しやすかったかなとは思います。あと、欲を言えばPythonにも対応してほしいですね。今後に期待させていただきます。”