在米日系企業が成功できるように
U.S. Japan Publication N.Y., Inc.(以後UJP)は、ニューヨークに拠点を置き、在米日系企業をサポートする情報誌を発行している出版社である。創業当時はバブル期で、日本企業がこぞってアメリカに進出していた。しかし日本とは勝手の違うアメリカでは、ビジネスの立ち上げに必要となる人材や情報の確保が困難だった。そこで日系企業や駐在員の情報提供を目的とした、ビジネスディレクトリの発行を始めた。
当初1記事から作成を開始した企業情報は、サービス発足後3年を経過した現在では、毎年約2,000もの企業情報がメディアに掲載されるまでになった。データベース上にはさらに多くの企業情報のストックを持つ。別途発行する月刊ビジネス新聞では、より専門的な記事を掲載している。紙媒体としてスタートしたUJPであるが、Webメディアサイトの必要性が日に日に昂まったため、Webサイト制作に着手した。またスマホ対応のためのCMS(WordPress)の利用も不可欠となってきたため、情報交換を介して知ったプライム・ストラテジーにWebサイト構築について相談する運びとなった。
プリントメディアとWebメディアの両立が必須だった
アメリカという広大な面積を有する国にあっては、発行する情報誌を郵送した場合、郵便が届いて情報を入手するまでには数日かかる。Webメディアであれば、情報のリンクを施したメールさえ送れば、ユーザーは一瞬で情報を手に入れることが可能となる。発足以来、印刷した情報誌のみで対応してきたUJPであるが、プリントメディアとWebメディアの両立は必須の課題となった。
UJPのGMを務める菱田氏は語る。“すでにアメリカでビジネスに成功した企業ばかりではなく、今後アメリカに進出しようと考えている企業のための情報誌として、有益な情報をご提供したいと思います。メディアの形態としては、これからも紙媒体を大切にしつつ、Webの優れたところは取り入れ、しばらくはバランスをとりながら運営し、様子を見たいと思います。”
「KUSANAGI」導入後は「速くなったな」としみじみ感じます。また作業効率も上がりました
UJPでは、すでに数年前からWordPressを使っていた。しかし速度は遅く、管理画面に入るだけでもひどく時間がかかる状況だった。またアメリカにサーバーがあるために、日本の企業などがUJPのWebサイトにアクセスする時に、画面が表示されるまで長く待たされることがあった。
「KUSANAGI」を導入したのは、マネージャーの川村氏が、プライム・ストラテジーのニューヨーク駐在員である中野を紹介されたことによる。川村氏は語る。“今回は「KUSANAGI」への移行とともにデザインも一新しました。移行する前、中野さんから「速くなりますよ。」と言われましたが、その時は実感が湧きませんでした。しかし移行後、記事を書いてプレビューしたり、改行などのちょっとしたデザイン変更のために管理画面とプレビュー画面を交互に見比べる時などに、「速くなったな」としみじみ実感しています。また作業のスピードアップによって作業効率が上がっていることも感じています。”
写真を豊富に掲載する「Restaurant USA Guide」の運営には「KUSANAGI」が不可欠
UJPは「UJP NEWS Advanced 」と同時に、レストランガイドサイト「Restaurant USA Guide」も「KUSANAGI」へと移行した。これはアメリカ全土で、出張や接待の際に利用できるレストランを探している駐在員への情報提供を目的として立ち上げたものだ。メニューや店内の様子を撮影した豊富な写真を中心として構成されており、これもまた「KUSANAGI」の助けなくしては、スムーズな運営が難しいサービスである。川村氏は語る。“日本からの駐在員はアメリカ全土におり、また日本食レストランはブームということもあって非常に増えました。オーセンティックな和食レストランや現地の人気ローカルフード、Barを紹介することで、駐在員の出張や接待などの便宜をはかっています。”
インタビューを終えて;
かつて大挙してアメリカへと進出した企業の多くは、次のグレードへと差し掛かっている。以前は日系人同士の繋がりを求めていたものが、現在ではより積極的にアメリカとの繋がりを求めるようになってきた。事業の展開においても、以前なら日系人を雇用していたところが、今では駐在員以外はすべてアメリカ人のスタッフばかりといった構成が増えてきた。これは、外国の企業がアメリカへと繋がる際にありがちなハンディキャップをなくす意味でも重要だが、それ以外にも日本とアメリカでは大きく異なる働き方のギャップをなくすために有効な手段である。アメリカには終身雇用などの考え方はない、あるのは企業対個人の「契約」だけである。
こうした現状に対応するため、UJPではメディア運営以外にも、様々な試みを行なっている。先日はトーストマスターズでの優勝歴のあるスピーカーを招き、「日本人の苦手なパブリックスピーキング」をテーマとしてセミナーを開催した。
変わり始めた邦人企業に対応するべく、様々な試みにチャレンジし続けるUJPの活動から当分目が離せない。(PRIME STRATEGY NEW YORK, INC.:中野)